2025年11月15日

【第5回】「衆知を集める」−−一流の指導者に求められる素直な姿勢とは−−

【第5回】
「衆知を集める」
−−一流の指導者に求められる素直な姿勢とは−−



素直な心で衆知を集め
自修自得で事の本質を究め
日に新たな生成発展の道を求めよう

――松下政経塾・塾訓より

前回のブログでは、「素直な心」の大切さについて取り上げました。
この塾訓にもあるように、「衆知を集める」という姿勢は、松下幸之助塾主が一貫して大切にされてきた、指導者に求められる根本的な心構えです。

決して一人で物事を決めるのではなく、他者の知恵や経験、率直な意見に心を開き、素直に耳を傾けること。
そこから本質をつかみ、判断へとつなげていく。
これこそが、真に一流のリーダーに必要な資質であると、松下幸之助塾主は語っておられます。



◆「尋ねる人こそ、慕われる人である」

松下幸之助塾主は自らの体験を通して、次のように語っておられます。

「自分がやれないから、人に頼むしかなかった。そうして助けてもらったことが、結果として
プラスになった」
(『松下幸之助発言集 第14巻』より)


体が弱かったことで、無理に抱え込まず、人に尋ね、頼ることが当たり前になった−−。

松下幸之助塾主は、自らの人生を振り返る中で、しばしば「自分は特別な才能に恵まれていたわけでもなく、
体も強くなかった」と語り、その「弱さ」ゆえに人の力を借りながら歩んできたことが、むしろ大きな学び
となり、後の成功につながったと述べています。

さらに塾主は、「成功の三大要因」として、貧乏・病弱・無学歴を挙げました。

貧しかったからこそ、幼い頃から丁稚奉公に出され、実践を通じて商人としてのしつけを受けることができた。
病弱だったからこそ、何でも自分でやろうとせず、人に仕事を頼み、任せることを自然に覚えた。
学歴がなかったからこそ、「知らない」ことを素直に認め、人に教えを請う姿勢を身につけることができた。


一見すると不運に見える状況を、嘆くのではなく「ありがたい試練」として受けとめ、むしろ人生を切り開く力に
変えていく−−。

こうした経験の積み重ねが、塾主の中に
「誰の声にも耳を傾ける姿勢」
を自然に育てていったのです。

そのため松下幸之助塾主は、立場や年齢に関係なく、小僧さんの言葉にも真剣に耳を傾け、そこから学ぼうとされました。
そして、どんな小さな提案にも「なるほど」と素直に受け止める姿勢を、生涯にわたり貫かれたのです。



◆衆知は“自然と集まるもの”

対談の中で、指導者の情報収集について問われた際、松下幸之助塾主はこう語っています。

「情報を集めるということにとらわれたらいけません。それでは、かえって情報は入らない。入ったら間違いだと
思いますね。やはり、自然に分かるものです。天の声といいますか地の声といいますか、そういうものをいわば心の耳で判断
するわけです」
(『松下幸之助発言集 第16巻』より)

さらに、

「どんな人間とも私は会うのです。時間の許すかぎり、きょう入った人とも会って、常に聞いています。それで判断するの
です。」

「だから、自分の独断は独断にあらず、全員の思いも一緒だと、こういう考えをもっているわけです。」

つまり、「衆知を集めよう」と構えずとも、日常のなかで一人ひとりと誠実に向き合い、素直な心で接する。その積み重ねが、
結果として大きな知恵の結集につながっていくのです。



◆自然体で、人と向き合う

松下幸之助塾主は「誰にでも話しやすいようにしている」とも語っています。

リーダーが「怖い」「近寄りがたい」存在ではなく、どんな立場の人でも意見を伝えられるような雰囲気づくりこそが、実は
組織力を高める第一歩なのだと気づかされます。

形式だけのヒアリングや、情報を得るためのポーズではなく、「その人の声に真摯に向き合うこと」
それが「衆知を集める」という姿勢の本質ではないでしょうか。



◆衆知を集める「実践哲学」として

以前にも述べましたが、私は松下幸之助塾主の思想・哲学は「実践哲学」だと確信しています。
「衆知を集める」ことも、実際にやってみてこそ、その価値が実感できるものです。

例えば、日常会話や会議の場で、私はできる限り自分の話を控え、相手の話に集中するよう心がけていますが、
それでもつい話を聞きながら次の自分の返答を考えてしまい、真に耳を傾けられていない自分に気づくことも
あります。

そんな時は、自分が目の前の人を尊重し、きちんと向き合えているかを自問自答します。
そして、チームで意見を交わし、一人ひとりの天分や持ち味が活かされたとき、自分一人では到底思いつかなかった
ような素晴らしい成果が生まれる−−そのような経験を、私はこれまでに何度もしてきました。


個人・組織・国家経営に至るまで、「衆知を集める」姿勢を持ち続けることで、必ずや前進できると私
は信じています。



◆ 謙虚に尋ねる、その先に共感と信頼が生まれる

今、混迷の時代を生きる私たちにこそ、松下幸之助塾主の「素直な心で衆知を集める」という教えが求められているのでは
ないでしょうか。

リーダーは、必ずしもすべてを知っている必要はありません。むしろ「知らない」と素直に認め、他者に耳を傾ける姿勢こそ
が、真の信頼と共感を生み、未来を拓く原動力になるのではないでしょうか。

「尋ねる人こそ、慕われる人である」

それは、松下幸之助塾主ご自身が、人生と経営を通じて体現してこられた真理であると私は感じています。


私自身、まだまだ未熟ではありますが、これからも謙虚な心と情熱をもって、地域の皆さまのお声に真摯に耳を傾けながら、
皆様と共に未来をつくる歩みを重ねてまいります。



🌱次回もまた、松下幸之助塾主の思想・哲学をもとに、今の時代を考えます。

公開予定日:2025年12月15日(月)頃

是非ともご覧いただければ嬉しいです^^




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