地域医療と企業立地について質問しました。
地域の皆さまや現場からいただいたお声を踏まえ、京都府の今後の方向性について伺っています。
【質問】
(1)京都府における持続可能な地域の医療提供体制の構築について
全国的には、近年「病院の約7割が赤字経営に陥っている」と報じられております。京都府内においても、令和6年度は病院を経営する医療法人の約66%が赤字、診療所のみを経営する医療法人でも約45%が赤字とされており、物価上昇や人件費の高騰、働き方改革への対応などが重なり、医療機関の経営環境は極めて厳しい状況にあります。
こうした状況を背景に、昨年12月には医療法が改正され、2040年を見据えた地域の医療提供体制の再構築が打ち出されました。今回の見直しでは、これまで進められてきた病床機能の再編にとどまらず、地域医療構想をさらに深化させ、外来医療や在宅医療、介護、救急との連携を含め、地域全体で患者を支える体制の構築が求められております
また、都道府県が主体となる地域医療構想調整会議の役割強化や、地域医療介護総合確保基金の活用、医師偏在対策、医療DXの推進など、医療機関への支援策もあわせて進められております。
さらに、2026年度の診療報酬改定では、診療報酬本体が約3.09%引き上げられる見込みであり、物価高騰や人件費上昇への対応としては、1996年度改定以来およそ30年ぶりの高水準と言われています。
しかしながら、制度改正や報酬改定が行われても、地域医療の現場において持続可能な体制が確保されなければ、府民の安心につながるとは言えません。制度改正の趣旨を踏まえ、京都府としても地域医療の将来像を医療関係者および府民の皆様と共有しながら、その実効性を高めていくことが重要であると考えます。
そこでまず伺います。
京都府として、医療機関の経営状況にも配慮しながら、2040年を見据えた医療提供体制の再構築をいかなる理念のもと進め、地域医療構想の推進を通じて持続可能な医療提供体制をどのように確立していくのか、舞鶴市においても公的4病院再編に向けた検討が進んでいますが、その動きへの対応も含めて基本方針をお示しください。
次に出生数の減少で厳しい経営を強いられる産科・小児科医療についておうかがいします。
京都市内では、2023年に左京区の産婦人科医院が分娩を中止し、2025年には日本バプテスト病院(左京区)が分娩と新生児集中治療室(NICU)の受け入れを取りやめ、さらに下京区の産婦人科医院も分娩の取り扱いを中止するなど、分娩を担う医療機関の減少が続いております。都市部においても、分娩施設の経営維持が容易ではない状況が生じているものと認識しております。
舞鶴共済病院のホームページでは、産婦人科の分娩取扱いを令和8年3月末で一時休止し、令和8年4月以降に出産予定の方は妊娠中期頃から他の分娩取扱い施設へ紹介する、というお知らせが掲載されています。
また、私自身が地元の若い世代や子育て家庭の皆様から継続的にお話を伺う中でも、今後さらに進むと見込まれる小児科医の高齢化や体制縮小に対する不安の声が寄せられております。
京都府は、医師多数県として国からシーリングがかかっており、令和6年3月の「京都府保健医療計画」の改定において、医師の地域偏在・診療科偏在について「全国的に偏在が著しいと言われる産科(産婦人科含む)、小児科の令和2年の医師数は、いずれも全国平均を上回っているものの、医師の確保が困難な状況にあり」、小児科標榜診療所勤務医師数(小児人口10万人あたり)は、府全体で53.2人であるのに対し、丹後医療圏では20.9人、中丹医療圏では30.8人と、京都北部では府平均を大きく下回っております。
また、令和8年度の「国の施策及び予算に関する政策提案」において、「専攻医の採用が少なく医師少数区域への派遣が困難になりつつある小児科のシーリングを緩和し、医師の年齢構成等を考慮した制度設計」について国への要望を行なっていただいております。
そこで伺います。
出生数の減少や医師の地域偏在、専攻医シーリングの影響などにより、産科・小児科医療を取り巻く環境が厳しさを増す中、妊産婦や子育て家庭が安心できる医療提供体制の将来像をどのように描き、持続可能な仕組みとして確立していくのか、京都府のご見解を伺います。
京都北部における救急医療体制について伺います。
85歳以上の高齢者の増加に伴う高齢者救急や、複数の基礎疾患を有する患者への対応が求められる中、救急搬送の需要は今後も高まると考えられます。とりわけ北部地域においては、医療機関までの距離や医療資源の制約もあり、救急医療体制の確保は一層重要な課題となっております。
舞鶴市が令和 6 年に公表している資料によりますと、救急出動件数はこの 15 年間で約 3割増加しており、平均現場滞在時間も 9 分から 17 分へと延びるなど、一定の長期化傾向が見られます。また、現場滞在時間が 30 分以上となるなどの救急搬送困難事案も確認されております。もっとも、現場滞在時間の延伸については、救急受入体制の状況のみならず、救急車内での処置の高度化など、複合的な要因があるとも伺っております。
こうした実情を踏まえ、地域特性を踏まえた救急医療体制の在り方について、改めて検証を深めていく必要があると考えます。
さらに、舞鶴市における公的4病院の再編・統合に向けた議論も進む中で、医療機関の役割分担や機能集約の在り方が問われております。すべての疾病や高度専門医療を地域内で担うことは容易ではありませんが、少なくとも一刻を争う救急医療については、地域内で完結できる体制の構築が極めて重要であると考えます。
加えて、北部地域ではドクターヘリの運航圏が重なっていないエリアであり、広域的なバックアップ体制が必ずしも十分とは言えない状況にあります。こうした実情を踏まえ、24時間体制で重症患者に対応できる高度救急医療機能の在り方と、医師不足時にも機能を維持できる連携の仕組みについて、戦略的な検討が必要であると考えます。
京都府として北部地域の救急医療体制をどのように評価し、今後どのような展望のもと体制整備を進めていくのか、ご見解を伺います。
【知事答弁】
持続可能な医療提供体制の構築についてでございます。
将来にわたり、持続可能な医療提供体制を維持していくためには、今後の高齢化や人口減少、医療・介護需要の変化を的確に見据え、地域で必要な体制を整備することが重要と考えております。
京都府におきましては「京都府地域包括ケア構想」に基づき、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年に向け、高齢化の進展に対応するための病床機能への転換などを進めてきたところでございます。
今後は、2040年頃に向けまして、85歳以上の人口が増加し、高齢者の救急医療や在宅医療の需要の増加が見込まれておりますが、高齢者は、手術を伴う入院は少ない一方で、筋力の低下を防ぐため、入院早期からのリハビリテーションが必要となるなど、医療需要に合わせた入院医療の整備も重要となってまいります。
また、人口減少に伴い、医療従事者の確保が課題となること、医療の安全性を確保するため、医療従事者が一定数の症例を経験できる必要があることなどを踏まえ、地域の実情にも配慮しながら、脳血管疾患などの専門性が高い医療を集約することで、患者にとっての安全性を高めつつ、持続可能性を確保することも必要となってまいります。
京都府といたしましては、こうした課題や、医療機関の経営状況にも留意しつつ、各地域の地域医療構想調整会議で丁寧に協議をし、将来の医療需要に対応した持続可能な体制の確保に努めてまいりたいと考えております。
舞鶴市の公的4病院の再編につきましては、舞鶴市が行う病院再編の検討と連携を図りながら、中丹地域を含む北部地域の状況につきまして分析を進めているところであり、分析結果も踏まえ、中丹地域医療構想調整会議において持続可能な医療提供体制を検討してまいりたいと考えております。
次に、産科・小児科医療についてでございます。
産科・小児科医療につきましては、少子化に伴う患者数の減少や、晩婚化・晩産化に伴うハイリスクの妊産婦の増加などに対応し、府域のどの地域でも安心・安全に子どもを産み育てられる体制を整えることが重要だと考えております。
こうした体制の整備に当たりましては、分娩取扱施設や小児救急など、地域で必要な医療機能の適正配置を進めますとともに、高度な医療を担う医療機関と地域の医療機関で役割分担と連携を進めることが重要だと考えております。
京都府におきましては、府立医大から地域への産科・小児科医師の派遣、周産期母子医療センターや地域の中核病院を中心とした医療機関の役割分担と連携による医療体制の構築などの取組を実施しているところでございます。
また、将来的に地域で産科・小児科に従事する医師を確保するため、専門医の養成に係るシーリング制度の見直しを国に要望いたしますとともに、これらの診療科の育成プログラムを策定するなど、若手の産科医・小児科医の確保・育成に取り組んでおります。
引き続き、産科・小児科の医療体制の整備を進め、妊産婦や子育て世帯が安心できる、持続可能な医療体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
次に、北部地域における救急医療体制についてでございます。
府内の全ての地域で救急患者の受入体制を整備し、府民の皆様に安心して生活していただける環境を整備することは大変重要だと考えております。
府内の救急医療体制につきましては、地域の状況も考慮しながら、市町村単位の初期救急から都道府県単位の三次救急まで、3段階の受入体制を整備し、体制の充実を図ってきたところでございます。
北部地域におきましては、入院受入が可能な二次救急医療機関といたしまして、複数の救急告示病院を指定いたしますとともに、市立福知山市民病院を「地域救命救急センター」に指定し、重篤な患者に対して24時間365日体制で高度医療を提供できる体制を整備しているところでございます。
北部地域の救急搬送時間や搬送困難事案の割合は、京都府の平均と大きな差はなく、全国平均を下回っておりますが、いずれも増加傾向にあるため、搬送先をより迅速に確保することが課題であると考えております。
また、北部地域におきましては高齢化の進展が早く、今後、高齢者の救急患者の増加や、生産年齢人口の減少を踏まえ、医療従事者を拠点となる医療機関に集中して配置することによる、
休日・夜間の救急受入体制の強化、
手術を伴う入院が少ない高齢者の救急に対応した診療体制の確保、
緊急に対応が必要な患者のアクセス手段の確保など、
地域の実情に即した救急医療提供体制の構築が重要だと考えております。
京都府といたしましては、地域医療構想調整会議や、救急医療関係者などの御意見を伺いながら、こうした体制の整備に取り組んでまいりたいと考えております。今後とも、地域で必要な医療提供体制を構築することにより、住み慣れた地域で誰もが安心して暮らし続けられるよう、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
【質問】
(2)京都府の企業立地戦略について
京都府はこれまで、ものづくり産業と雇用創出を目的に、補助限度額の引上げや対象業種の拡充など、地域特性に応じたきめ細やかな立地誘導策を講じてこられました。例えば、京都舞鶴港周辺地域において物流関連産業を補助対象業種に追加するなど、港湾機能を活かした支援の枠組みの整備も進められてきたところであります。その積み重ねにより、府内各地で企業立地が進み、産業基盤の強化が図られてきたことは大きな成果であります。
また、関西文化学術研究都市南田辺・狛田地区におけるフードテックの推進など、世界的テーマを掲げた産業創造リーディングゾーンの形成も進められております。こうした京都ブランドを活かした戦略的な取り組みが、今後、府域全体へどのように波及していくのかが重要であると感じております。
一方で、国はデジタル田園都市国家構想のもと、地方分散型の国土構造への転換を進めております。デジタル化の進展やリスク分散の観点から、先端分野の産業についても、都市部に集中させるのではなく、地方へ展開していくことが重要視される時代に入っております。
そのような中、舞鶴市ではアイリスオーヤマの進出に加え、AIデータセンターの企業立地が決まりました。現時点ではまだ入り口段階ではありますが、北部地域にも新たな産業の可能性が広がりつつあることを示す動きであると受け止めております。
特に北部地域は、人口減少という課題を抱える一方で、用地、エネルギー、港湾や広域交通インフラなど、分散立地に適した条件を備えております。従来は塩害の影響などから海岸沿いでの精密関連産業の立地は難しいと認識されてきましたが、技術の進展により、その前提そのものが変わりつつあります。こうした環境変化を踏まえ、立地戦略のあり方について改めて検討していく必要があると考えます。
京都府の企業立地政策は、これまで主としてものづくり産業を基盤に、雇用の安定・創出を目的として展開されてきましたが、AIデータセンターの立地に見られるように、今後は雇用人数という尺度にとどまらず、技術の波及や人材育成、地域産業の高度化といった副次的効果にも着目していく視点が求められているのではないでしょうか。
北部地域では高校卒業後約8割の若者が地元を離れております。
若者が戻りたいと思える地域をつくるためには、雇用の確保に加えて、「挑戦できる分野」「成長できる産業」が地域に存在することが不可欠であります。
実際に地元の基幹産業を視察する中で、半導体関連技術や艦船修理など、世界水準の高度な仕事が地域に根付いていることを改めて実感いたしました。こうした誇りある仕事が“見える化”されることも、若者の定着につながる重要な要素であります。
そこで伺います。
北部地域を含めた府域全体の持続的発展という観点から、京都府が描く今後の企業立地戦略について、知事の所見を伺います。
【知事答弁】
京都府の企業立地戦略についてでございます。
企業誘致に当たりましては、社会情勢の変化や地域の特性を踏まえた施策を展開することが重要であり、補助金交付などによる誘導施策と、地域ごとに特色あるテーマを掲げた産業集積施策を立地戦略として位置付け、実施してまいりました。
誘導施策につきましては、雇用の安定・創出と地域経済の活性化を図ることを目的といたしまして、平成14年に企業立地促進条例を施行し、補助金や税の軽減措置などの支援制度を積極的に活用してまいりました。
産業集積施策につきましては、地域の特色を活かして世界的に関心の高いテーマを掲げ、用地造成や拠点整備と、国際的なオープンイノベーションを同時に進めることで、国内外から関連企業を誘致する取組を進めているところでございます。
例えば、近年、AIが急速に発展し、半導体をはじめとする関連産業が成長する中、京都府がそうした産業を呼び込み、府域全域にその効果を波及させるためには、成長分野の振興と併せて企業集積を図るための戦略が必要と考え、令和6年11月にAI時代のものづくり産業の成長戦略といたしまして、半導体産業振興の構想骨格案を発表したところでございます。
骨格案におきましては、AI時代のキーデバイスとなる半導体の関連産業の府域への誘致につきまして、府域を3つのブロックに分け、各地域の産業集積を図ることとしております。
具体的には、研究開発施設の集積する京都市域においては、半導体研究やデザイン、設計などの企業、南部では、EVや自動運転、ロボット向け半導体などの関連企業、北部では、京都に集積する半導体製造装置などのサポーティングインダストリーや一定の用地が必要となる企業の誘致を図ることとしております。
副委員長御紹介のAIデータセンターにつきましては、こうした京都の半導体産業振興の取組の中で立地ニーズを把握し、AI関連産業に不可欠な電力が豊富で、かつ、電力料金に係る補助制度も充実している地域の強みをアピールいたしますとともに、必要な電力供給調整などを含め、舞鶴市と連携したスピード感ある誘致活動を行ったことが、誘致につながったものと考えております。
今後、国が進めております、GX戦略地域制度やAI・半導体、フードテックなどの17の戦略分野など、官民投資強化の流れも積極的に取り込み、市町村のまちづくりとも連携して次世代産業の誘致を進め、府域全体の持続的な発展につなげてまいりたいと考えております。
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