中山間地が多い府北部地域は、救急医療機関への搬送時間が平均よりも長く、京都市内等への広域搬送も時間がかかり、高齢化で救急搬送困難事案も今後増加すると予想される中、本府は救急医療体制を提供するため、関西広域連合のドクターヘリ3機を活用しているが、府独自のドクターヘリと基地病院はなく、大災害時や重複要請等の際にセーフティネットを構築できないと危惧されている。京都舞鶴港にヘリポートが整備され、今後検討している基地病院と消防や自衛隊ヘリとの連携など、救急搬送の強化を望むが、平成4年設置の「救急搬送体制のあり方検討委員会」での議論も踏まえた救急医療体制の構築に対する見解と本府におけるドクターヘリの導入に向けた検討状況について、所見を伺いたい。
(知事答弁)
京都府内における救急医療体制についてでございます。
府内の救急医療につきましては、救急患者の重症度に応じて、一次から三次救急までの3段階の体制を整備しているところですが、救急患者の増加への対応など、さらなる体制の強化が必要だと考えております。
また、府内の救急搬送につきましては、全国と比較して搬送時間が短い状況ではございますが、搬送時間に地域差があるなどの課題がございます。
これらの課題について、令和4年度に、救急搬送体制のあり方検討委員会を設置し、救急を専門とする医師などの関係者に意見をお伺いしながら、救命救急センターなどの三次救急医療体制と救急搬送体制のあり方を検討したところでございます。
三次救急医療体制につきましては、近年における救命救急センターへの救急患者の増加に対応した体制強化が必要、広範囲に及ぶ「やけど」などに対応できる高度救命救急センターの設置が必要といった意見がございました。
こうした意見を踏まえ、三次救急医療体制の強化を図るため、昨年4月に、府内初の高度救命救急センターを2か所指定いたしますとともに、救命救急センターについても新たに2か所の指定を行ったところでございます。
救急搬送体制につきましては、二次医療圏を越えた転院搬送において、救急車のみの搬送では時間がかかるなど、広域搬送に課題があること、府内に基地病院を置くドクターヘリの導入は、災害などの有事の際にも有効
といった意見がございました。
京都府といたしましては、広域搬送手段の一つであるドクターヘリについて、特に中山間地域など搬送に時間を要する地域における救急患者の初期治療や、二次医療圏を越えた広域搬送において利点が大きいと考えております。
このため、現在、医師や看護師のマンパワー、医療の質の確保、施設や設備などについて、他府県状況の調査を行いますとともに、関西広域連合において府域で共同運航中のドクターヘリ3機との関係性も踏まえながら、その有用性や課題など、府内に基地病院を置くドクターヘリの導入可能性について検討を行っているところでございます。
今後とも、府域全体での救急医療体制の充実・強化を図ってまいりたいと考えております。
2 府立高校の魅力化について
少子化の影響による府立高校の小規模化の進行や、私学助成の拡充による私立高校への進学の増加、不登校経験者等の通信制高校への進学の増加など、生徒の学習ニーズや進学先の選択肢の拡大等で多様化が進む中、学校数の少ない府北部地域は府南部地域に比べて選択肢が限られ、教育の質と学びの機会に格差があると考えるが、府立高校の魅力化に関し、次の諸点について、所見を伺いたい。
(1)全国初の「つながる教室」を導入し、世界最先端のICTで全国や世界と遠隔交流を行った宮崎県立飯野高校のように、ICT等を活用した特別な体験と交流を積極的に行い、生徒が地理的制約を超えた質の高い学びを受けられる環境づくりを進め、学びの格差が生じないよう努めていくことが必要と考えるが、ICT等を活用した学びの地域間格差の解消をどのように考えているのか。
本府は、全国に比べ普通科の生徒数の割合が多いことから、既設学科を見直して「新しい普通科」を設置するなど、普通教育の魅力化の推進を掲げている中、飯野高校があるえびの市では、普通科改革事業として探究学習に注力し、地域ぐるみで高校を拠点とした人材育成を図っている。令和9年度からの新しい入試制度の導入や学科・コースの見直しなど、府立高校改革が進められているが、普通科の生徒数が多い特徴を踏まえ、飯野高校のように普通科の特色化を推進し、生徒が通っている学校に誇りを持てるよう、府立高校の再編整備に併せ、普通科改革にも注力すべきと考えるがどうか。
(教育長答弁)
府立高校の魅力化についてでございます。
地理的条件によらず、どの学校においても興味・関心に応じた質の高い学びができる教育環境を整えることは重要であり、その観点からも、ICTの活用をこれまで以上に進めていく必要があると考えております。
その実現には、安定した通信環境が不可欠なため、昨年度から各校の通信回線の増強に取り組み、今年度末には完了する予定ですが、さらなる通信環境の安定化を目指して今後も強化を図る予定です。また、今年度は国の事業等も活用し、大画面で臨場感のあるオンライン交流ができる機器の導入や設備の充実などにも取り組んでいるところでございます。
このような環境整備を活かして、今年度から、同じ興味や関心を持つ生徒が放課後にオンラインでつながる「学びのWEBラボ」事業を試行的に始めました。北部2校、南部4校から25名の生徒が、気象やロボットなどの3つのラボ、すなわち研究室に参加し、京都地方気象台の職員から助言を受けたり、ロボット工学の専門家に指導を受けながら、探究的な学びに取り組んでおります。
また、各校の特色ある授業や講義を配信する「どこでもスペシャル講座」も試行的に始めており、著名な数学者による数学の魅力についての講義や、企業の経営者による流通や貿易に関する講義など、同時双方向型でオンライン配信し、北部2校、南部6校から100名を超える生徒が受講したところでございます。
令和7年度は、企業や大学等との連携を強化して、多様なニーズに応えられるラボを開設したり、洛北、嵯峨野、桃山といったスーパーサイエンスハイスクールの先進的な授業を配信するなど、オンラインを活用した取組を本格化するとともに、ICTの利点を活かした各校の取組の充実を支援することで、地理的条件などによらず、すべての学校で質の高い学びに触れる機会を創出できるよう取り組んでまいります。
次に、普通科改革についてでございますが、議員御指摘のとおり、府立高校において、多くの高校生が在籍している普通科の魅力化・特色化は、高校改革の中でも大きなポイントであると考えております。
高校改革を進めるにあたっては、生徒一人一人の興味関心や将来なりたい姿といった夢や希望に応えることを第一に考え、家庭環境や経済状況、地域環境に関わらず、自ら努力することで自分の可能性を最大限望む方向に広げられる教育環境を整備していく必要があると考えております。
これまでから普通科におきましては、幅広い科目を設定することで、総合的に学ぶことができ、柔軟な進路選択が可能となる良さがある一方で、生徒の目的意識が希薄となりがちであったり、各高校の特色の違いがわかりにくいという課題がございました。
今後は、総合的に学べるという普通科の良さを活かし、例えば、複数の教科の学びによって身に付けた力を活用し、課題や問いに挑戦するコースの設定や、地域の企業や専門家とともに、具体的な地域課題を実際に解消していく取組の実践といったように、各高校の学びを明確化してまいります。
具体化に向けては、すべての校長と協議を重ねながら、現在の教育課程や教育内容を点検・検証した上で、見直しを図り、その内容を中学生や保護者に正確に、わかりやすく届けられるよう工夫をしてまいります。
府教育委員会といたしましては、府立高校が、子どもたちの期待にしっかりと応えられるよう、ICTをはじめとした教育環境を整備するとともに、魅力ある教育内容とするため普通科改革を進めてまいります。
3 地域共生社会の実現について
地域における支え合いや見守り等の支援の充実と地域で安心して暮らすことのできる環境整備が必要となる中、8050問題やダブルケア、ヤングケアラー、ごみ屋敷など、複雑化・複合化している地域住民の課題に市町村が主体的に対応できるよう、新たな地域包括ケアシステムを構築する重層的支援体制整備事業が創設され、府内市町村においても事業が開始されているが、現場の大変さや人手不足等の指摘、関係者間での包括的な支援体制の構築不足により、支援が届かないと危惧されている。本府は平成26年度から「絆ネット」事業を市町村で取り組むよう進めてきたが、今後市町村が重層的な支援体制を構築していく上でどのような課題があり、本府としてどのように支援していくのか、知事の所見を伺いたい。
(知事答弁)
地域共生社会の実現についてでございます。
少子・高齢化や人口減少が進み、単身世帯が増加するとともに、コロナ禍などの影響により、人と人とのつながりの希薄化や、地域の担い手不足が進んでおり、これまで地域社会が担ってきた支え合いや助け合いなどの機能が徐々に弱まってきていると認識しております。
また、近年、8050問題、介護と育児のダブルケア、ヤングケアラーや、いわゆるごみ屋敷の問題など、地域住民が抱える課題は複雑化・複合化しており、高齢・障害・子育て・生活困窮といった、これまでの属性別の支援体制では、対応が困難となってきております。
このような状況の中、地域住民が抱える様々な課題に対し、市町村が幅広い相談支援機関や民生児童委員、自治会、地域のNPOなどと連携して、包括的な支援を行うことができるよう、令和3年4月に社会福祉法が改正され、「重層的支援体制整備事業」が創設されました。
しかしながら、市町村からは、重層的支援体制整備事業の取組に当たって、地域住民が抱える複合的な課題に対する支援のノウハウが不足しており、対応が難しい、地域のつながりが希薄化する中で、地域のNPOや住民との連携や協働をどのように進めていけばよいかわからない、などの声を伺っているところでございます。
このため、京都府では、平成26年度から開始しました地域の見守り支援ネットワーク「絆ネット」のノウハウを活かし、市町村の取組を支援しているところでございます。
具体的には、市町村や支援機関の職員に対する研修会の開催やアドバイザーの派遣などを通しまして、関係支援機関との連携構築や協議の場づくり、住民との協働による地域づくりなどのノウハウを提供することで、市町村が複合的な課題にも円滑に取り組めるよう支援をしております。
また、議員御指摘のとおり、市町村や社会福祉協議会におきましては、支援活動に係るマンパワーの不足が課題となっておりますことから、重層的支援体制整備事業の開始にあたりましては、関係機関との調整や地域住民への訪問支援を行う職員などの配置に対し、必要な経費を支援しております。
こうした取組によりまして、京都府内におきましては、現在4市町が同事業を開始しており、令和7年度には、さらに3市が事業開始を予定しているところでございます。
既に事業を開始した市町村におきましては、地域住民の様々な相談に対応する「福祉なんでも相談窓口」の開設、地域の関係者と連携し、住民への寄り添い支援を行う「地域あんしん支援員」の設置、ひきこもり状態や不登校の方を受け入れる居場所の運営など、地域の実状に応じた様々な取組が展開され、複合的な課題を抱える地域住民の支援にもつながっているところでございます。
今後は、事業実施市町村による事例報告会を開催し、様々な取組から得られた成果やノウハウを、他の市町村や地域の関係者にも共有するなど、重層的支援の取組を横展開してまいりたいと考えております。
引き続き、市町村や地域の関係者と連携し、ともに支え合い、誰もが安心して暮らせる、あたたかい地域共生社会の実現に取り組んでまいりたいと考えております。
4 地域公共交通について
(1)物価高騰や運転士不足を原因としたバス等の路線の廃止・減便等の影響は、まちの活力低下にもつながり、利便性の低下はさらに府民の公共交通離れを加速させる悪循環になっていると考えるが、持続可能な公共交通の構築に向けた本府の見解はどうか。
(2)公共交通のあり方や課題は地域によって異なるため、地域公共交通会議における合意のほか、既存の公共交通との競合や採算性等も含め持続可能性を考慮する必要があると考えるが、過疎地域等の交通空白地におけるデマンド交通の取組はどうか。
(3)地域公共交通の維持を図る観点から、若手などの人材確保について、企業や関係機関と連携した支援等を進めるべきと考えるがどうか。
(知事答弁)
次に、地域公共交通の構築についてでございます。
鉄道やバスなどの公共交通は、通勤・通学・子育てや通院など地域の生活や経済を支える社会基盤であり、特に車を運転できない方にとりましては、欠くことができない移動手段でございます。
公共交通の確保につきましては、市町村において地域公共交通計画が策定され、地域の実情に応じた公共交通ネットワークの構築に取り組まれております。
地域公共交通計画に位置付けられたバスの不採算路線などにつきまして、京都府は、主に複数市町村にまたがって広域を運行する路線に対し支援を行い、地域の移動手段の維持・確保に努めてきたところでございます。
議員御指摘のとおり、人口減少による利用者の減少や運転士不足の深刻化などにより、バスの減便や路線廃止が相次ぐなど、地域公共交通を取り巻く環境は厳しく、バス路線の維持に係る経費への支援のみでは、地域の公共交通ネットワークを維持していくことが難しくなってきております。
公共交通の持続可能性や利便性を高め、地域の移動手段を確保していくためには、交通事業者のみに頼るのではなく、行政や関係者が連携・協働して地域の輸送資源を効率的に活用する、地域公共交通の「リ・デザイン」を進めていく必要があると考えております。
既に府内の各地域におきましては、廃止予定のバス路線に代わり、福祉施設の送迎バスや、スクールバスへの一般客の乗り合わせ、地域による自家用有償旅客運送の導入など、地域の輸送資源や人材を活用することで、地域の足を確保する取組が進められているところでございます。
京都府といたしましては、このような地域が主体となった輸送サービスの導入に係る初期費用及び実証運行に要する経費などに対する支援や、路線バスのキャッシュレス化など公共交通の利便性や生産性を高める取組に対する支援のため、今定例会に所要の予算案を提案しているところでございます。
また、国におきましては、昨年7月に国土交通大臣を本部長とする「交通空白解消本部」が設けられますとともに、昨年11月に「交通空白解消官民連携プラットフォーム」が発足され、自治体や交通事業者と、先進的な技術やサービスを有する民間企業との連携が進められるなど、官民の総力をあげて、交通空白地の解消に向けた取組を推進していくと伺っております。
引き続き、国や市町村と連携し、持続可能な公共交通の確保に取り組む市町村や交通事業者を支援し、地域公共交通の維持・確保に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、デマンド交通についてでございます。
路線やダイヤを定めず、利用者のニーズに応じて柔軟に運行するいわゆるデマンド交通につきましては、過疎地域など、バスやタクシーの利用が難しい交通空白地において、利便性の高い公共交通として期待されております。
京都府内では、既に17市町村でデマンド交通の導入が進められており、路線バスに代わって導入された、福知山市の「鬼タク」や、南山城村の「村タク」などは、地域住民によって運行が支えられ、地域に欠かせない生活の足として定着しております。
このような地域住民が運行するデマンド交通は、運転手と利用者が顔見知りであるなど、高齢者をはじめ誰もが安心して利用できるといった過疎地域ならではの持ち味が活かされていると伺っております。
こうしたデマンド交通の取組に対し、京都府といたしましても、本格運行までの伴走支援を行いますとともに、地域の足として定着されるよう、市町村への地域生活路線支援補助金について、路線バスから転換したデマンド交通も補助対象とするなど、支援を拡充してきたところでございます。
引き続き、地域の実情に応じた利用しやすい生活交通の確保に取り組む市町村や地域に対しまして、必要な助言や支援を行ってまいりたいと考えております。
次に、公共交通の人材確保についてでございます。
議員御指摘のとおり、昨今、バスの運転士不足が公共交通の維持に深刻な影響を及ぼしております。
このため、京都府といたしましては、昨年度から、交通事業者が行う二種免許取得などの人材確保の取組に対しまして、国と協調して支援を行っているほか、若手や女性の運転士確保につなげるため、京都府独自の取組といたしまして、バス事業者が行う、営業所のトイレや休憩室などの労働環境改善に資する整備に対しまして、支援を行っているところでございます。
さらに、運転士の待遇改善や広域での人材確保に繋げるため、バス事業者が行う従業員用住戸の整備に対する新たな支援を行うこととし、今定例会に所要の予算案を提案しているところでございます。
議員御紹介の退職自衛官を対象としたバス事業者などへの再就職支援の取組につきましては、昨年10月に陸上自衛隊大久保駐屯地におきまして、国土交通省京都運輸支局と自衛隊京都地方協力本部との共催により「バス・トラック運転体験会及び運送業等就職説明会」が行われました。
また、消防職員につきましても、大型自動車免許を保有し、地元の道路事情にも詳しく、バス運転士の即戦力として期待されますことから、京都府では、バス事業者と自治体が連携し、定年を控えた消防職員をバス運転士として活用する取組を広めるため、市町村への助言や情報提供に取り組んでいるところでございます。
引き続き、国や市町村などの関係機関と連携・協働し、バス路線の運行支援、地域公共交通の「リ・デザイン」、運転士不足対策などの取組を総合的に進め、地域公共交通の維持・確保に努めてまいりたいと考えております。


